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【実話】一人暮らしの高齢者をほっとけなかった話

街のでんきや屋さんをやっていて最近感じるのは、一人暮らしの高齢者のお客様がとても多いと感じています。
今回は一人暮らしの高齢者のお客様に接した時に、とても悩んだお話をしたいと思います。

※プライバシーを考慮し、一部情報を変えて記載しております。

この記事でわかること

・高齢者だから手助けしたほうが良いのか?
・一人暮らしだから、そっとしておくべきなのか?

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かるび

いつも商品を購入してくださる、一人暮らしの高齢男性のお客様がいらっしゃいます。
今回も購入してくださった商品をご自宅にお届けしました。

季節が夏だったこともあると思います。
玄関が開いた時、強い尿臭を感じました。

今回のお客様の基本情報

お客様情報

・76歳。男性。戸建て(2階建て)一人暮らし。
・病歴:パーキンソン病(ご本人からの情報)
・性格:几帳面。多くの会話は好まれない。自立心が強い(自分で自由に生活したい)。健康面にも気を付けている。
・ヘルパーさんの話をしておられたので、介護保険は利用しておられる?

パソコンを2台所有し家計簿管理したり、ルームランナーを購入し毎日歩行をするなど、大変しっかりした男性です。
金銭面でもしっかりしておられるため、比較的安心して接することができるお客様の一人でした。

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物に囲まれて生活することが基本生活なので、ご自宅は雑然としている感じはありますが
ご自分のペースで掃除をしておられる為、極端に不潔な環境ではないと感じていました。

配達した家電品は、開封設置まですることになっていました。
お客様のご希望で、2F寝室に設置することになり2Fへお邪魔することになりました。

玄関から入り、奥に進みながら尿臭が強く(むせかえるほど)なってきたことで、無意識に臭いの元を探しました。
トイレやお風呂を見ることはできませんでしたが、2Fへ進むと尿臭が強くなってきたので「2Fに原因がある」と感じました。

2Fは1部屋です。
階段を登りきるとすぐに原因が目に入りました。

臭いの原因だと考えられること

・部屋に設置されたポータブルトイレの中に排尿がそのままになっている(尿量が多い)
・ベット脇に45L可燃ごみ袋に使用後の尿取りパットが大量にまとめてある。→1日や2日の量ではない。
・ベッド上に使用済み(使用中?)の尿取りパットが数枚おいてある。

声をかけたり、処理を手伝うことが正しいことなのか?

お客様に「尿臭のこと」「尿取りパットの処理」「ポータブルトイレの中の排泄の処理」を伝えた方がいいのではないかという思いと、ご本人の自尊心=プライドを同時に考えました。

K様とは、電気屋としての関係性は長く、商品の購入やご自宅の電気工事を任せていただけています。
ですが、電気関係のサービスに限定したもので、プライバシーに食い込んだものではありません。
仮に、私だったら「時々来る電気屋に、急におしっこくさい言われたら絶対嫌だ…」

このことには触れられたくないかもしれない…

高齢者の自尊心を傷つけることの問題

失敗して傷つけて「ごめんね」で済まないことは高齢者だけの話ではないのですが、高齢者の自尊心という部分に着目してお話したいと思います。

私は、高齢者施設で20年介護士として働きました。
その中で、自分の未熟さや経験値の不足、人間性により多くの高齢者を傷つけたと自覚があります。
もちろん得たものはそれだけではありませんが、高齢者の自尊心を傷つけたことで起こった事実もまた、私の実績なのです。
その経験を踏まえてお話したいと思います。

事例1

一人暮らしをしていた高齢者Aさんが、自分で生活できなくなり施設へ入居されました。
施設でも、自立した生活をしていましたが、体臭が強く体臭のほとんどは尿臭(排泄物の処理不足)によるところでした。
Aさんには認知症はなく、自立心も強いことはわかっていましたので、状況をしっかり説明しケアが必要なことを話しました。
ですが、気づくと自分で処理してしまいケアができない日々が続きました。

介護士は、ケアに関してはプロです。
時間の経過とともに、入居高齢者の生活習慣を把握します。
私は介護士の仕事だと思い、トイレに向かうAさんを見つけ同行しました。
「あ…。いい、いい。自分でやるから。いいから」と言っていましたが、介護士の仕事なので「気にしないでください。お手伝いしますよ」と
優しく伝えました。
その後はトイレの中まで同行し、パットの交換や陰部の洗浄のケアを声をかけながら対応しました。

結果
「ごめんね」「ありがとう」と返事をしておられましたが、徐々に部屋に閉じこもりトイレに行かずパット内で排泄をするようになりました。
部屋に閉じこもり移動が減ったことで、足の力は弱り車いすを利用するまでにそれほど時間はかかりませんでした。

自尊心を傷つけたと考えられること
・プライベートな体の部分を見られたくなかったのに、納得できる前に若者に見られた。
・自分でやれると思っていたのに否定された。
・自分から尿の臭いがすると思っていなかった。
・排泄のことは言われたくなかった。

事例2

施設生活をする高齢者Bさんは、自分の部屋で習字をしたり、お菓子を食べたり好きに過ごしていましたが、自室がぐちゃぐちゃで不衛生でした。
生活する空間は掃除をしたかったが、ベッド上のものの多さやベッド周りのものの多さがケアを妨げる為、本人に話をして定期的に介護士が片付けるようにしました。

結果
自分で好きに生活していたのに、ベッドに横になりテレビばかり見て過ごすようになった。

自尊心を傷つけたと考えられること
・自分の部屋が不衛生だと、散らかっていると思っていなかった。
・自分の世界(部屋)を否定されて、勝手に変えられた。

ここでお伝えしたかったのは、高齢者の自尊心を傷つけるということは「自立」と「自律」を損なうということです。
「無気力」「自暴自棄」につながっていく可能性があり、場合によっては食欲不振や体調不良がおこることもあります。

必ずしも、親切からの行動が高齢者にとっての助けになるとは言えない状況を何度も経験しました。

そっとしておくのか?

だからといって、このままほっとくことが良いことなのか?

何年か前に、Kさんがヘルパーさんの話をしておられたので、介護保険を利用しておられる可能性がありました。

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かるび

でも、部屋の中を見るとヘルパーさん来てない気がする…。
あと、この尿臭はヘルパーさんが来ていたら気づくはず…う~ん

尿臭(不衛生)のリスク

・感染症の恐れ
・コミュニティーへの障害(世間体)
・体の機能低下

感染症の恐れ

・尿路感染症
施設では、尿路感染症を発症する方が度々ありました。
発熱、倦怠感などで活気がなくなる高齢者が多かったです。

・皮膚炎
高齢者、痒みで眠れなくなり生活リズムが崩れ体調を崩す高齢者は多いです。

いずれもすぐに命に関わることではありませんが、ひとりで生活を続けるには難しい状態になります。

コミュニティーへの障害

体や身の回りで尿臭があると、友人やご近所の方が気にしはじめます。
心配をかける場合もありますし、臭いから遠ざかろうとする場合もあります。

関係の浅かった知人などは、疎遠になってしまうこともありますので排泄臭に無関心であるのはおすすめできません。

体の機能低下

私がもっとも心配になったのは「機能低下」が原因で自分で排泄処理や清潔を保つことが難しくなっているのではないか?
ということです。

この高齢のお客様は、去年ご自宅の臭いはありませんでした。
去年、排泄臭はなかった⇒自分で処理できた。
今年、排泄臭がある⇒自分で処理できていない。
これが、予測できます。

これは、ご本人も気づかないことが多いです。
自分では、いつもと変わらず生活をして、尿が漏れたことに気づかなかったかもしれません。
普通なら気づくことも、気づけなくなってきている場合があります。

その他にも、尿臭に気づかないのは、嗅覚の低下も予想できます。
嗅覚の低下は、高齢が原因であることと他に「認知症の初期症状」である場合もあります。

排泄処理が、自分でできなくなってきているのであれば、他の生活にも支障をきたしている可能性が高く、実は一人暮らしをすることが危なくなっていることがあります。

まとめ

一人暮らしの高齢者を「守る」という意味は、むやみに手助けすることでも、ほっとくことでもありません。

ですが、それでは解決できません。

解決に向かう可能性がある方法

・高齢者の自尊心を傷つけない信頼関係を、高齢者本人と築く。
・親戚や協力者に協力を求める。
・国の行政機関「包括支援センター」へ報告をする。

実は、高齢者の体に関することですぐにスッキリ解決する事案はほとんどありません。
理由は、長い人生の中でのご本人の性格や血縁関係、生活スタイル、病気の度合いなどが複雑に絡んでいる場合が多いからです。

私達は、仕事をして、自分の生活や家族があります。
自分にできる範囲で関わるようにしましょう。
それは冷たいことではなく、長い目で見ると地域で高齢者を見守れる環境を維持することにつながります。

私は、今回「地域の包括支援センター」へ報告するという形を選びました。

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かるび

私は、高齢者と信頼関係を築けるほど、親切でマメな性格じゃないです。
自信がありません。

この高齢の一人暮らしのお客様の親戚や協力者を探し出すほどの力もありません。

でも、長い期間お客様として接したきたから、ほっとけなかったです。
現実的だったのが「包括支援センター」へ心配だと、自分の気持ちも含めて報告しました。

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かるび

現場実績20年以上の介護福祉士です。
現在は、街の電気屋さんへ転職し高齢のお客様を中心に出張サービスをしています。
購入していただいた家電の使い方サポートや暮らしの相談をしています。
中学生男子を持つ一時の母です。

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