街のでんき屋さんのお客様は、高齢の方がたくさんいます。
現在は、高齢のお客様の困りごとは地域の包括支援センターへ相談するようにしていますが、初めのうちは抵抗がありました。
その時感じた抵抗感や、現在でも相談にためらった出来事などのお話を実例を出しながらお話していきます。
少しでも、誰かに相談することに抵抗感や迷いが軽くなるようになると良いなと思い記事にしました。
この記事でわかること
・実は、包括支援センターへ相談することに抵抗感を感じている人は多い。
・抵抗感の正体に向き合う
・まとめ
包括支援センターへ相談することに抵抗感を感じている人は多い
包括支援センターは、地域で「高齢者の駆け込み寺」という位置にもかかわらず、相談しに行くことに抵抗感を感じている人は多いです。
かく言う私もその一人でした。
実際、お客様と話をするといろいろな立場で抵抗感がある話を聞きます。
高齢者本人
高齢者本人の思い
・人の世話になりたくない。
・行政に介入されるのは嫌。
「自分のことは自分でやる」と自立の気持ちの強い高齢者は、人の世話になりたくないと考えている人が多いです。
自立心ではなく、家族のことは家族でやる。
自分のこと、家族のことを他人に話すのは、家族の恥をさらす。
家族単位で保守的な環境は少なくありません。
私も子供に「自分のことは自分でやるんだよ」と伝えています。
それは、自立した生活の基本の形であることを考えると、高齢者本人の気持ちは
普通のことなので、人を頼る(包括支援センター)ことへ抵抗感があっても仕方がないように思います。
家族
家族の思い
・こんなことを、国の機関に相談してもいいのか?
・行政だから、厳しそう(イメージ)
・高齢者本人(親など)に聞かないと、自分で勝手に相談に行けない。
・身内の恥をさらすようで嫌。
包括支援センターは行政機関ということもあり、役所のような堅苦しさをイメージしている人が多いです。
「こんなくだらないことで」「そんなこと?」と思われるのではないかと想像して怖くなると話す人もいました。
地域の人
地域の人の思い
・自分や自分の家族でもない人のことを、包括支援センターに話すことは個人情報保護法に触れると思うからできない。
・余計なお世話はしたくない。
私はこれにあたります。
現在、お店では高齢のお客様が困っていて自分達で解決できない時はお客様の許可を得て、包括支援センターへ相談しています。
でも、最近…
一人暮らしが難しいと感じる高齢のお客様がいたのだけど、とてもそのことを本人に言えないし、
支援センターに相談する許可も頂けないことがありました。
排泄処理がご自身でできず、家の中の臭いが大変なことになっているお客様がいました。
今すぐ命にかかわることではありませんが、長期的にみると感染症などの病気になる可能性がありほっとけない状態でした。
親戚もいらっしゃらない一人暮らしの方でしたので、私が解決するか包括支援センターに相談するかの選択肢しかありませんでした。
抵抗感に向き合う
立場で感じる包括支援センターへの抵抗感の正体は、それぞれ違います。
高齢者本人や家族の抵抗感の正体は「行政機関が嫌」「恥ずかしさ(世間体など)」「自立心」などです。
地域の人の抵抗感の正体は「余計なお世話はしたくない」「個人情報を他に話してはいけない。法に触れることはしたくない」などです。
なぜ向き合う必要があるのか?
高齢者本人と家族の抵抗感に向き合う意味
私は施設で働いている時に「精神的にも、肉体的にもボロボロになって入居してくる高齢者本人や家族」をたくさん見てきました。
緊急で受け入れて欲しいと依頼が来ることもありました。
ボロボロの状態
高齢者本人
・長期に渡り栄養不足状態で、入院が必要な状態。
・長期に渡り入浴していない為、体全体が不衛生で感染症にかかっている。
・生きる気力がない。
家族
・介護疲れで精神疾患を患った。例:うつ病など
・介護対象者を憎んでいる。
・倒れて入院した。
その時、必ず思ったことが「もっと早いうちに、誰かが気づいていればここまでにはならなかった」ということです。
もちろん、上手に生活している人たちもいます。
それでも、人は老います。
自分では、家族だけではどうにもならない時がきます。
その「自分ではどうにもできなくなる時」を、自分や家族ができるだけ穏やかに、そして納得できる形で迎えられるように向き合う必要があると考えています。
地域の人の抵抗感に向き合う意味
地域の人の抵抗感には、人と関わること自体が嫌だという人もありますが、それ以外の理由もあると思います。
それは「個人情報保護法と義務」の理解不足が考えられます。
私がそうでした。
どういった状況でも、知り得た他人の情報を他の人に話すことは法律に触れると思ってました。
しかるべき人が、しかるべき方法で手続きをする必要があると考えていました。
知り合いのケアマネージャーに、地域の包括支援センターに他人の情報を話すことは個人情報保護法に触れる法律違反にならないか?
と聞きました。
ならないよ。
包括支援センターに相談することは「義務」だから。
市民の義務だから、法律には触れないよ。
地域に住む人を地域の人が守らないとね。
包括支援センターに報告や相談することは、個人情報保護法には触れません。
安心して、利用してください。
頭の片隅に
そうはいっても、苦手意識のような気持ちは簡単にはなくならないものです。
「こういった理由があるから、しっかり考えて向き合いましょう」というものでもありません。
今、困っていなくて自分で生活できている中で「少し面倒だな」「やりたくないな」といった、いつもと違う自分を感じた時に包括支援センターを思い出せるように、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
包括支援センターは「今までと変わらず自宅で生活を続けて行けるようにサポートしてくれるプロ集団」と頭の片隅に置いておいてください。
まとめ
地域の人が、包括支援センターに話すだけでも地域の人を守ることにつながっていくんだって。
ケアマネージャーは、そういう教育を定期的に受けていて、地域を守るように活動しているそうです。
包括支援センター
「地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」
包括支援センターについて、詳しくはこちらから
⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000026b0a-att/2r98520000026b5k.pdf
包括支援センターは、地域のいろいろなお店や施設、そして地域の人達と話をしています。
そうすることで、必要な人に必要なケアやサービスを提供しているからです。
誰かの話が、誰かの助けになる。
包括支援センターに話をすることは、地域をつなげていくことの一つになります。
私のお店のお客様は、包括支援センターの存在も知らない人がいます。
まずは、支援センターの存在を知ることからはじめてみてはいかがでしょうか?